今年始めは作/編曲仕事の締め切りが重なっていて、新年早々からスタジオに篭っています。 某シンガーの歌モノでは、いつかトライしてみたかった「ウォール・オブ・サウンド」風なアレンジを試しています。「ウォール・オブ・サウンド」とは、音楽プロデューサーであるフィル・スペクターが生み出した手法で、複数のほぼ同じ演奏テイクをいくつも重ねて分厚い「音の壁」といわれる音像を得る方法。 1960年代のヒット曲『ビー・マイ・ベイビー』や、ビートルズ後期のサウンド等が有名です。 日本のアーティストでは、大瀧詠一氏や山下達郎氏などが影響を受けたことが知られています。 当時と今では使用する録音機材や制作プロセスがまったく異なるけど、現代のパソコンをベースとしたトラックメイクにおいて、そのエッセンスを取り入れてみたかったのです。 今、試しているのは、アコギのコードストローク。 
1)まず、メインとなる6弦ギターのテイクを2本収録し、左右に定位。 2)そして、微妙にチューニングを下げたテイクを2本、逆に微妙にチューニングを上げたテイクをさらに2本収録。 この微妙にチューニングを変えた複数テイクを、メイントラックにわずかに混ぜて鳴らすことにより、ふくよかな音の厚みができる。 3)そしてここに12弦ギターのテイクを2本重ね、さらなる厚みとシャリーンとした輪郭を加える。 ...で、合計8本のテイクをバランスとったのが以下のMIX画面 メインのギター2本だけでは得られない、「音の壁」的な質感が得られた。 
最後の方の演奏では、もう左手の指が痛くて限界! 実はこんな手間隙をかけずとも、現代では音楽制作ツールのプラグインエフェクト等で、ちょちょいとデジタル的に同様の効果は得られる。 ...が、こんなかんじで体育会系っぽく?何度も演奏を重ねてゆくことでしか得られないサウンドに今回はトライしたかったのです。 執拗なまでにコダワリを積み重ね作り上げていったであろう、黄金期(1970年代前後)のポップス。 ゆえにあの時代の音楽には、時を経ても色褪せない'ぐっと来る'音楽マジックが宿っているんじゃないかとも思うのです。 以下、日本のポップス史上に残る名盤、大瀧詠一<A LONG VACATION>より |